『自分で本を出版する・ワードDTP編・DIY産直出版のススメ』『自分で本を出版する・製本術編』の無料公開につて
2001年から紙の本で出版されていた本です。著作権は、「あくり出版」が持っています。ちょっと変わった非常識出版を実践していた「あくり出版」です。
現在は販売しておりません。内容が古くなったのでここで無料公開いたします。何かのお役に立てれば幸いです。
※ご紹介している「あくり出版」の書籍や製本キットなどについては、現在販売はしておりません。
あくり製本キット・5冊製本用
ここまで、1冊づつの製本方法を解説してきました。身近な材料だけでこれだけの書籍が製本可能だと言うことがおわかり頂けたと思います。
ここからは、せっかく作った自分の本をもっと大量に製本して配布したり販売したりすることを目的に、ある程度の量を作ることを考えます。
数十冊程度でしたら1冊づつでもコツコツと製本すればなんとかなりますが、100冊単位ですと大変です。
そこで、あくり製本キットのラインナップで5冊づつですが、一度に製本できるものを用意しました。
原理は締め上げる工程を5冊一度に行います。これでのり付けや補強紙の貼り付けなどの作業を一度に出来ます。大変効率的に自分の本が出来上がります。
あくり製本キット5冊用
専用に加工した固定板と締め上げる本体
締め上げるキット本体。
厚さ3センチほどの本であれば5冊締め上げることが出来ます。冊数を減らせば、それ以上の厚みも製本可能です。
1. 本体に固定する
5 冊用の製本キットは製本する本の大きさによって締め上げ方が違います。くぼんでいるところを上にするか下にするかで、挟み込む判の種類が違います。
この写真は、B6判を固定、締め上げているところです。
製本キットの曲線でくぼんだ所の高さがB6の加工がしやすい高さになっています。5冊製本する場合は、間に4枚のB6用の固定板を挟み込んで締め上げます。
固定板とくぼみの高さがそろっています。
A5判を固定、締め上げているところです。
これは、A5判です。製本キットのくぼんで開いている方を下にします。高さがA5判を加工するのにちょうど良い高さになります。
B6判と同じように5冊の製本のときは、A5用の4枚の固定板を挟み込みます。
A4とB5は下の写真のようになります。
A4とB5用の固定板は、6枚づつ用意しています。間に4枚外側に2枚使用して合計6枚必要です。
付属の板を使っていろいろな大きさの本を製本可能です。付属の固定板も締め上げと加工がしやすいように大きさと形を研究してあります。
構造は単純そうですが、随所に工夫が施してあります。書籍作りにおいて、決して単純ではない締め上げと加工を同時にできる機能を持っています。
次からは、A5判の作成工程を例に解説いたします。
本文のプリントされたA5用紙の束、5冊分用意します。
固定板は、辺の長い方が下です。
間に挟む固定板は長い辺が下になります。A5は4枚必要です。
製本キット本体は、A5の製本ですので、くぼんだ方を下します。A5以外は、その反対です。
1冊づつの製本と同じようにプリントアウトされた本文用紙の束をそろえ、背になる部分を上にして製本キットに挟み、締め上げます。
このときの注意は、本文用紙をきれいにそろえるところです。定規などをあててそろえて下さい。
2. 背にボンドをぬる
背に木工ボンドを塗ります。
背 の部分に木工ボンドをたっぷりとぬります。5冊全部にぬります。ばらばらの用紙を一つにまとめる工程です。紙になじむようにたっぷりと塗ってください。
1冊づつの製本でもご説明しましたが、木工ボンドのみでの製本ですから、市販本のような専門の製本ボンドのような接着力は出ません。それを補い、決して市販本に負けない製本方法として「クルミ製本角布固め法」があみ出されました。
ひとつひとつの工程を丁寧に職人になった気分で取り組みましょう。しかし、決して難しい作業はありません。どなたでも製本できると思います。
3. 厚紙をはる
背に厚紙をはります。
背の大きさに加工した厚紙をそれぞれにはりつけます。
この厚紙は、ボンドの接着力を補うものです。本の完成後、ページを開けたときに背がゆがんでページ落ちの原因になるのを防ぎます。
厚紙の材質は何でも構いません。背の強度を増すことができると判断できればいいと思います。
厚手の画用紙などがいいと思いますが、隠れる部分ですから、それこそ、お菓子箱の再利用でも何でも構いません。資源を大切にするためにリサイクル品で充分です。
4. 角布はり・・・ボンドをぬる
角にボンドをぬる。
製 本キットを立てます。ここからは、1冊製本とは違うところです。
5冊一度に1枚の小布で上からはってしまいます。背の角から3ミリ程度ボンドをぬります。
5. 角布はり
5冊一度に角布をはる。
2~3センチ幅の布で、5冊分の角をおおうことができる長さに裁断したものを用意します。端を少し折り込んではり付けます。
折り込んだ面を隠すように張りをつけて5冊とも充分に接着させてください。
天と地ともに同じように小布をはって下さい。この状態でボンドが半乾きになるまで待ちます。
6. 角布の加工
角 布を切り離します。
ある程度乾いたら、1冊づつ小布を切り離します。良く切れるはさみでカットしてください。切り離しがうまくいかないときは、充分乾燥してからにして下さい。時間のある方はそのほうが切り離し安いでしょう。
あとで折り込みますので多少の不ぞろいは構いません。上に向いている面は、完成後に見える部分ですからきれいに仕上げたいのですが、その他は隠れますので構いません。
次に写真のように1冊ごとに角を包み込むようにボンドをつけて折り込みます。
天と地と10ヶ所加工します。多少指にボンドがついたりしますが、職人気分でガンバって下さい。
この角布固めの工程が一番重要なところです。角をこのように包み込んで固定することによって、木工ボンドのみの接着剤でも市販本に負けない接着力をつけています。
要するに本の構造上ページがはがれる時の原因の最初がこの角からはがれることがほとんどです。ならばこの角を固めてしまえばページがはがれてしまう原因がなくなるというわけです。
これだけのことで専用のボンドを入手しなくても製本が出来ると言う訳です。
昔の和装本の技法です。昔の人はエライ。
7.補強紙はり・・・ボンドぬり
厚紙と角布の上にまんべんなくボンドをぬります。
本の本体と厚紙、それを角布で固めたところで更に補強をします。
補強の紙を張るために木工ボンドをぬります。ここは、一枚の紙を張るだけですから、たっぷりとぬる必要はありません。薄くてもまんべんなくぬってあれば構いません。角布はしっかりと固定して欲しいので、その上には必ずボンドをぬってください。
8.補強紙はり
補強紙をはります。
ここも1冊製本と違い5冊いっぺんにはり付けます。紙はコピー用紙の余りでも、印刷し損じたものでも結構です。
5冊の背が全部隠れる程度の大きさに切ったものをはります。丁寧にまんべんなく押さえ乾燥させます。
9.補強紙の切り離し
乾燥しましたら、補強紙をカッターかハサミで切り離してください。
乾燥したら障子紙のようにはりのある状態になっています。切り離しは容易にできると思います。
1冊づつ、中央のラインをねらってカットして下さい。見返し用紙をあとで貼る時に、この補強紙が若干でも残っているほうが扱いやすいからです。
10.見返しはり・・・ボンドぬり
ボンドをぬる。
製本キットから5冊の本を取り出します。それぞれに1冊製本の時と同じように見返し用紙をはります。
補強紙を外側に開き、付け根にボンドを塗ります。
用意していた見返し用紙を本の天と地に合わせてはり付けます。本の本体と補強紙の間に見返し用紙を挟むようにはります。
天と地を合わせます。外側の小口になる部分は、あとでカットできますので多少ははみ出ても構いません。
見返し用紙はA5の場合は、A4を半分に折り曲げて作成します。本の本体と表紙を接合する役目をするものが見返し用紙です。
11.見返しはり
補強紙を上からはって押さえます。
見返し用紙をはったところに補強紙を戻してはり付けます。上から強く押さえて十分に接着してください。定規などを使うと押さえやすいと思います。
5冊全てに見返し用紙を貼ります。
これで本文用紙の束が冊子状になりました。ここまでの作業が終われば、あとは楽なものです。最大の難関、角布固めを通過して見返しをはり終えました。
このあとは、表紙をつけて書籍としての体裁を整えます。ここでは、並製本風のクルミ製本をご紹介しますが、布張りの表紙などを別に作成し、この本体と合体すれば上製本も製作可能です。
12.クルミ製本
冊子状になった本体を厚手の表紙にくるむように接着します。上の写真右は、画用紙をA5の高さにカットしたものを本の厚みに合わせて折り目をつけたものです。
この表紙に題名や著者名などを印刷すると書籍らしくなります。作成の仕方については、『自分で本を出版する・ワードDTP編』をご参照ください。
補強紙が隠れるようにボンドを塗り本体と表紙を合体します。
このときあまりボンドをぬりすぎると、完成後の本の開きが悪くなります。表紙の厚紙と本体が接着できれば良いので、まんべんなく塗ることに気をつけます。
見返し用紙を全て表紙にはりたくなるところですが、全面にボンドをぬるとシワが出たり、開きが悪くなったりと良いことはありません。
13.製本キットで締め上げ・乾燥
背の部分を下にして締め上げます。今度は、製本キット本体をくぼんだ方を上にします。
はさむ固定板には上下があります。底辺の長い方が下です。
製本キットの底辺と固定板の下の部分には、背を締め上げるときに角をつぶさないように微妙なカット面を施してあります。
このおかげでそろえて締め上げるだけで角のきわから、きれいに圧力をかけて締め上げることが出来ます。
他の板などで、本のこの部分を数ミリ出して挟んでももちろん可能ですが、この数ミリを出すという行為が1冊や2冊では苦になりませんが、数十冊、数百冊となるといい加減いやになります。
そこを大量生産のために、下に向けてはさむだけで角をきれいに固めることができる「あくり製本キット」は、こまかいところにも気を利かせているニクイ奴です。
14.小口のカット
乾燥が終わったところで製本キットから取り出します。ここからは1冊製本のときと同じです。
表紙がはみ出ている小口のところを本体に合わせてカットします。
1冊製本の時にもご説明しましたが、大きな裁断機の無いDIY出版では、コピー用紙のカット面を生かして製本しています。
表紙の厚紙を本体に合わせることによって小口を市販本並にそろえる事が出来ます。
15.カバーをかける
光沢紙に印刷したカバー。
ここも1冊製本のときと同じです。お好みにプリントした外カバーをかけるだけです。
表紙やカバーの作り方は、『自分で本を出版する・ワードDTP編』に詳しく解説しています。
専門のソフトを使わなくてもワードを使って本の表紙やカバーなどお手のものです。
光沢紙を使うのは、市販されている並製本に見た目を近づけるためです。お好みによって和紙や布などお好きなものを準備してください。
本体に合わせて折り目をつけます。
カバーをかけます。
オリジナル本の完成です。あくり製本キットはB6、A5、B5、A4の大きさに対応した製本が出来ます。「クルミ製本角布固め法」の道具であり、「DIY産直出版」の必需品としてご活用ください。
『自分で本を出版する・ワードDTP編・DIY産直出版のススメ』『自分で本を出版する・製本術編』とは
2001年から紙の本で出版されていた本です。著作権は、「あくり出版」が持っています。ちょっと変わった非常識出版を実践していた「あくり出版」です。
ワードを使った書籍用のDTPの操作を解説した本です。古いワードのテクニカル本です。
『自分で本を出版する・製本術編』はワードDTPで作成し、インクジェットプリンターで印刷したものをビジネス書っぽく製本する方法を解説したものです。
当時4000円くらいで販売していたものです。3000冊ほど売れたと思います。ISBNもあり、国立国会図書館にも入っています。今は、販売していません。もしかして、古本でどなたかが販売しているかもしれません。
内容的に今では、使われていないワードのバージョンですので、ここで無料公開します。縦書き書籍用のデータをそのまま掲載しますので、改行も少なく、ネットでは読みにくいかもしれませんが、書籍の雰囲気をそのままということで、ご勘弁をお願い致します。
懐かしいワードの使い方をご覧ください。
新しいワードのバージョンで、ご参考になれば幸いです。
『自分で本を出版する・製本術編』についても、製本術自体は、古くなっても色あせることはありませんが、現在のネットワーク時代に紙の本というよりも、電子書籍やWEBにSNSですから、古い情報です。こちらも無料公開いたします。
なにかのお役に立てれば幸いです。
※ご紹介している「あくり出版」の書籍や製本キットなどについては、現在販売はしておりません。
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