KDPの税金関連の話です。著者に支払われる印税は全てアメリカ経由ですので、米国税務手続き関連の解説です。
米国源泉徴収に関する租税条約の恩典を受けるための証明書W-8BENの提出が簡単にできます。
という内容のメールが、2012年の10月くらいでしたかAmazonからきました。
「米国源泉徴収に関する租税条約の恩典を受けるための証明書」とあるので、例のKDPでのアメリカの税金を無しにする手続きかと思い喜んでメールの通りに手続きしました。
しかし、これだけでは、米国の税金を無しにはできませんでした。
読者さんの指摘でわかりました。
米国源泉徴収に関する租税条約の恩典を受けるための証明書W-8BENの提出をするためには、前提として米国の納税者番号を取得しておく必要があります。
「米国源泉徴収に関する租税条約の恩典を受けるための証明書W-8BEN」をする前に、IRS(内国歳入庁)からSS-4という申請書を手に入れます。
それから、IRSに電話をするか、FAXをするか、または郵送をして手続きをします。
提出した後に、EINという米国法人番号(Employer Identification Number)を入手します。
EINは、番号が発行されてから2週間程かかって有効の状態になります。
その有効になったEINを持った状態でアマゾンでの「米国源泉徴収に関する租税条約の恩典を受けるための証明書W-8BENの提出が簡単にできますよ」の手続きをします。
ややこしいですね。
EINを入手するまでのことは、AmazonKDPに説明がありました。
AmazonKDPでの印税取得の概要
アマゾンのKindleストアーでの電子出版が手軽になりましたが、印税の受け取り方が面倒だったんです。
アマゾンはアメリカの会社なので、すべての売上金がアメリカ経由でアメリカの税制に則って税金が徴収されます。
日本で売れても売り上げはアメリカのアマゾンが一括して集めて印税を著者に支払います。
印税率を最大に設定していた場合、売り上げの30%がアマゾンの手数料となります。
残りの70%が著者への印税です。このときアメリカの税制ではこの印税のうち30%が税金として源泉徴収されます。
つまり販売価格1000円の電子書籍だと最初に300円がアマゾンの取り分です。700円が著者の印税です。ここでアメリカの源泉徴収があり、700円の30%(210円)が徴収されます。
700✕0.3=210
残りの490円が著者の取り分になります。普通に日本で紙の書籍を出版すると印税なんて10%あるかないかですから、非常に高額の印税ということになります。
しかし、電子書籍はそんなに高い値段をつけることができませんので、金額的には非常に少ないものになります。
そこでアメリカと日本の税制の取り決めを利用します。一定の手続きをすると日本にはアメリカと日本との優遇措置で30%の源泉徴収を免除される規定があります。
アメリカ連邦税務ナンチャラカンチャラというとこに、電話をするかファックスをいれて、アメリカの納税者番号を取得するとこの優遇措置を受けることができます。
これが、「米国TIN(Taxpayer ID Number)の申請」でEINを取得する部分です。
当然すべての手続きを英語ですることになるので、すこし敷居の高い手続きでした。
日本にKindleストアーがはじまってから、この手続きを解説した書籍も販売されているくらいです。
行政書士さんの代行としてもサービスがあります。アメリカの法律に則ってKindleストアーは運営されていますので、それに従うわけですが、最近、この手続きをしておかないとKindleストアーでの販売ができなくなったみたいです。
これが、2013年の10月の話です。
アメリカ連邦税務の手続きを面倒だといって後回しにしていた方はちゃんとこの手続きをしておかないとKindleストアーから電子書籍の販売ができなくなります。
たくさんの日本人がアメリカの税務局に訳のわからない税務の書類を送りつけていたのか、税務の担当者が怒り出したのか知りませんが、そういうことになったみたいです。
そこで、アマゾンさん、この手続きを簡単なフォームに入力するだけであとはアマゾンが代行してやってくれるシステムを開始しました。
しかし、EINは、自分で取得して、そのあとの「米国源泉徴収に関する租税条約の恩典を受けるための証明書W-8BEN」の提出の部分だけです。
Amazonは、この部分だけやってもらえば、営業ができるみたいで、そこのところだけをKDPの発行者に向けて手続きを催促したみたいです。
当然、EINの番号がない状態で手続きしても米国の税金30%を無しにはしてくれないのでした。
番号を入手さえすれば、Amazonのところでそのあとの手続きができます。用語的に理解しづらいところもありますが、入力フォームに従って必要事項を入力するだけですみます。
以下に、Amazonでの手続きのところだけですが、手続きを図解で載せておきます。以下は、2013年の10月に書いた記録です。
- 「税に関す情報が適切に登録されていません。」と出ていたら手続きをしてください。2013年10月25日までにこの手続きをしないとKindleでの電子出版ができなくなります。この記事の執筆時点では不明ですが、10月25日以降は、この手続きをしてはじめてKindleでのIDを取得するようになるのではないかと思います。
- アカウント情報のところに入り税に関する情報を登録するをクリックします。
- 税に関するインタビューが始まります。画面に出てくる指示通りに入力をしていきます。
- 電署名への同意には、はいにチェックをいれて続行します。
- 税制上のステータスでは、日本国内だけの活動なら通常いいえにチェックをいれ続行します。
- 非米国人ということで手続きを続けますという表示になります。よければそのまま続行をクリックします。
- 住所や名前を埋めていきます。全てアルファベットと半角数字で入力します。日本語ではエラーがでます。
- 収益の印税を受け取る受益者の種類です。個人か会社かなどを選びます
- 外国籍の納税者番号があれば入力します。最初はないので空欄のまま続行します。とりあえずKDPで書籍を販売したい場合はこの手続が必要です。番号を入手したら再度この手続きをして免税を申請します。
- 米国法人テストです。通常の日本人はチェックなしです。続行をクリックします。
- あなたの米国の納税者番号をもっていますかの質問です。通常はないのでいいえにチェックをいれて続行します。番号を入手してからの再登録の時は、はいになります。
- 提出書類の画像がひらかれます。下の方のサイン欄が空白なので次の手続きでサインをします。「米国源泉徴収に関する租税条約の恩典を受けるための証明書」W-BENのフォームです。
- 認証です。先ほどの書類にネットでサインをしてもいいという同意認証です。必要事項を入力して「W-8フォームを提出します。」をクリックします。
- 先ほどの提出書類にサインがされています。これでアマゾンに代行して手続きをしてもらうことに同意しました。必要があれば印刷をしておいてください。
- 「完了」をクリックしてください。
- 手続き終了です。
- アカウント情報のところに戻って税に関する情報が完了になっていれば終了です。
これで、「米国源泉徴収に関する租税条約の恩典を受けるための証明書W-8BEN」の提出をアマゾンが代わりにやってくれるようです。
初めてKDPでの電子書籍の発行にはこれが必要です。納税者番号がない状態でも手続きが必要ですが、30%の税金は免除されません。
EINを取得してから、再度、この手続きをする必要があります。
この記事を書いた当初は、アマゾンから「米国源泉徴収に関する租税条約の恩典を受けるための証明書W-8BENの提出」についてといったお知らせがきたので、てっきりめんどくさい米国の税金を無しにする手続をAmazonが代行してくれるのかと思ったんです。
しかし、親切な読者さんの指摘で、やっぱりEINの取得をしてからじゃないとだめだよということがわかりましたので、この記事を訂正します。
ご指摘頂いた読者さん、誠にありがとうございました。早合点で、中途半端な記事を掲載してスミマセンでした。
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